SIGMA DP2 Merrill Hands-on!
最高気温38℃、猛暑の多治見をカメラ片手に歩く。
転売用にストックしていたレンズ一本と旧機種DP2xをドナドナして手に入れたDP2 Merrill。ネットに上がっていた作例でその実力は垣間見ていたけど、全くもって呆れる程の描写性能です。すげーな、これ。
少し早めの昼食後に訪れたのは、何年ぶりかの虎渓山永保寺。
暑さで遠のく意識を必死に保ちつつ、ぱしゃぱしゃ撮ったものをSigma Photo Proでデフォルト現像。
というわけで、1日使ってみた雑感をば;
- DP2xとの寸法/重量差はわずかだけど、実際持ってみるとけっこうな違いを感じる(でかい)。ハウジングデザインはSigmaらしくシンプルにまとめられているけど、どのコンポーネントも質感はけっこう高い。特に軍艦部はちょっとした高級感すら醸し出してないか。
- 操作性は良好。DPシリーズで受け継がれているQS(クイックセット)ボタンのコンセプトを踏襲しつつ、シャッターボタン回りに設けられたコマンドダイヤル、MFリングが操作性の向上に貢献している感じ。MF時の拡大表示も良いけど、欲を言えばピーキング機能が欲しかった。
- レンズがDP2xと違って沈胴式じゃないので、起動/終了が早い。僕のようにこまめに電源切る派にはけっこうな恩恵です。後述のとおり電池の持ちが悪いので、加えてLCDオフとオートパワーオフはそれぞれ最短の10秒と30秒に設定しました。ただしじっくり撮るときは、LCDオフはもっと長めの方が良いかも。
- ようやく他社並みになった液晶モニタ(3.0″型/92万ドット)はまぁ普通に見やすい。GR Digital III相当? ただし撮影直後の確認表示は解像度が低くてボンヤリしてるので、一瞬ピントをミスったかと誤解します。確認できるのは構図や露出など最小限だと割り切り、なし or 2秒に設定しておくのが良さそう(なし、2秒、5秒、10秒から設定可能です)。
- 最高画質で7枚分確保されているバッファメモリのおかげで、撮影自体はかなりサクサク。データ書き込み中は画像の再生ができないので、自ずと撮影に集中することに。実にストイックなカメラであります。RAW撮りだと露出やホワイトバランスはあとから調整ができるので、構図とピントだけに集中してがしがし撮っていくのが良いと思われます。
- RAWファイルだと1枚あたりのサイズが50MB前後になるので、100枚撮るとそれだけで5GB。一方JPEGが最高画質で1枚10MB前後なので、それも合わせると6GBに。すぐにPCのHDDが一杯になっちゃいそうです。結果、Sigma Photo Proでの現像作業も、Flickrへのアップロードもけっこうな時間が。どちらかというと、ストレスフルなのはカメラ自体の操作じゃなくてこっちの方かも。
- 電池寿命のカタログスペックは97枚で、一般のコンデジの1/3以下。扱う情報量が大きいためか、かなりの電池食いのようです。撮影してると本体がけっこう熱を帯びてきますが、この気温のせいだけじゃないでしょう。がんばってる感が伝わります。
- 今回はフル充電で100枚撮った辺りでバッテリーインジケータがゼロになりましたが、表示は赤点滅に変わってないのでまだ多少は撮れるっぽい。数十枚撮ったら電池切れたというネット住民の声もあり心配していましたが、思ったよりもいけるという印象です。ただし今回は観光地気分で気楽にぱしゃぱしゃやってただけなので、身近なものをじっくりと撮ろうと思ったらもう少し悪くなるかも。
- バッテリーの仕様としては、GR Digital IVのDB-65と互換性があるのが嬉しいところ(実際かなりこれに背中を押されました)。2台体制で持ち歩いて、欲しい画角やそれぞれの得意/不得意分野に合わせて使い分けが可能です。それにしても、何故これだけパワフルなカメラにGRD並の非力なバッテリーを採用したのか。Sigmaの中でどんな議論があったのか、気になるところです。
- 従来ストレージメディアにはEye-Fiカードを使っていましたが、電池食いのこのモデルでは使用を控えています。代わりに大容量(32GB)の高速SDHCカードを導入。撮影日付による自動のフォルダ分けとFlickrのSet作成ができず、面倒。
- RAW現像ソフトとしてのSPPの使い勝手: 自分は最低限のことしかしないので機能的なところは特に気になりませんが、基本操作にキーボードショートカットが使えないのはちょっと残念。
- いろいろひっくるめると、撮影ペースはGXR各APS-Cユニットと同じぐらいになりそう。一眼レフやミラーレスと比べると全然落ちるけど、じゃじゃ馬カメラの代名詞であるSigmaのDPシリーズとしては上出来以上でしょう。歩留まりもけっこういいし。あまり大量に撮ってもその後の処理が大変なので、それぐらいのパフォーマンスで1枚1枚じっくり撮るのがちょうどいいんだと思われます。もしそれを見越して敢えてバッテリー容量を低めに抑えたのだとしたら、Sigmaというのはとんだツンデレメーカーです。
その他
- フォーカスフレームのサイズで「ピンポイント」が選択できるようになったのは想定外の嬉しい機能追加(DP2xでは「通常」「大」の2種類)。GXR各APS-Cユニットのそれよりも小さいです。ただしコントラストAFなので、背後がざわついているとそっちに持って行かれがちなのはGXRと同じ。
- 高感度はDP2x比でかなり良くなっている印象。ちゃんと検証したわけではないけど、暗所は手持ちでもGR Digital III並にはいけるかな、と。APS-Cサイズのセンサー積んでるカメラとコンデジを比べるのもアレですが、旧機種がほぼ晴れの日専用カメラだったことを考えると大きな進歩だと言えます。
- 振動の少ないレンズシャッター採用なのも高画質指向への大きなアドバンテージ。現時点ではFoveon X3センサーの実力を100%発揮できる唯一無二のカメラだと言えるのでは。
- 今回撮ったものは遠景がモヤモヤっとしていますが、湿度と気温のせいだと思われ。今から台風一過の秋に冬、空気澄み渡る季節が楽しみです。その頃にはすぐホカホカになる本体も長所に変わるでしょう。
- EVF欲しいな-。
- Richard Franiecさん、専用グリップ作ってくれないかなー。
2012年12月25日追記: Richard Franiecさん、カスタムグリップ作ってくれました。